業者選びで大切なチェックポイントは?

[ テーマ: 住まいづくり情報 ]

2012年9月2日08:00:00

こんにちは、若松です。


私は工務店の家づくりが好きです。

ただ、前回もお話したように、

ひと口に工務店と言っても規模や能力に大きな差があります。

自分に合った業者を探し出すのは、実に大変な作業です。


さて、あなたの住む地域に、

年間10棟建てるA工務店と、年間50棟建てるB工務店があるとします。

どちらに安心感を感じますか?

数字だけ見ると、数が多いB工務店の方が経営が安定していそうですよね。


でも、A工務店が

『いい家づくりをするためには年間10棟が限界』

として丁寧に取り組む工務店で、数年先まで紹介客の予約で埋まっている。

B工務店が

『大勢のスタッフを抱え、年間60棟こなさないと経営を維持できない』

としたら?


健全な経営状態を維持するためには、

それぞれの工務店に合った棟数があります。

ですから、見かけだけで正しい判断をするのは危険です。


ところで、工務店選びで一番大切なチェックポイントは何でしょう。

それは「社長」です。

社長の家づくりへの思い・方針や性格は、

その工務店の家づくりに大きな影響を与えます。

また、社長が世代交代することで

成長する工務店もあれば失速する工務店もあります。


工務店というと古臭いイメージを持つかもしれません。

でも、そんなことはないんですよ。

外観や性能に磨きをかけた工務店もあれば

補助金や法令などを積極的に勉強している工務店もあります。

聞き取り能力を磨き、家づくりに活かす工務店もあります。

思いを共有できる業者は、あなたの心強いパートナーとなります。


その地域の気候・人々の暮らし方など、地元に精通した工務店は

その地域に合わせた材料で、その地域に合わせた家をつくることができます。

ハウスメーカーでも、寒冷地域や温暖地域など、

ある程度の環境に合わせた方法を取り入れていますが、

地域密着の工務店ほどには対応できません。


ハウスメーカーは広告費をかけられる分、

露出度が多く、知名度も高いですね。

「ここで建てたら安心かも」

と思いがちです。

でも実際には、ハウスメーカーより工務店で建てる人の方が多いんです。


家づくりを始めたばかりで、正しい手順がわからない人は、

「とりあえず展示場に・・・」

と行動しがちです。

そこで出会った営業マンが気に入って、そのまま家づくりを進めるケースもあります。

でも、『業者選びは社長が重要』と覚えておくと、

見た目に惑わされない判断ができそうですね。


家づくり経験者の中には

「打ち合わせから契約までは、担当者が誠実そうで親身だったのに・・・」

と嘆く人がいます。

契約後に担当者の態度が事務的になったり、

担当者が他の人に変わるのは悲しいことです。


本当に信頼できるのは、

手塩にかけてつくりあげたあなたの家をわが子のように思い、

引渡し後も大切に思ってくれる業者です。

ハウスメーカーの場合、組織が大きいので、

あなたが社長に会うことも難しいし、

スタッフ全員が社長の情熱を共有するのも難しいですね。

ですが、少人数で経営している工務店の場合は、

社長自身が担当になることも多いもの。

スタッフも、社長の情熱を共有しやすいものです。

中には、

「ハウスメーカーで働いていた時、

 お客様本位でなく、会社本位の家づくりに嫌気がさした」

と工務店を始めた社長もいます。


工務店で家づくりする人は、

そんな工務店のあり方を気に入っている人なのでしょうね。

 

では、また。
 

 

 

 


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ただし、ネガティブなメールは萎えるのでいらないです。

 


安物買いの・・・。

[ テーマ: 住まいづくり情報 ]

2012年9月9日08:00:00

こんにちは、若松です。


「今日はAスーパーの野菜が特売だな。

 明日はBスーパーでお肉の特売があるから、

 今日はお肉を買うのをやめておこう」

と、家計を預かる主婦は、毎日チラシとにらめっこをしています。

「同じものなら、1円でも安く買いたい」

と頑張っているんですね。


そんな彼らは、家電や車を買う時も、

複数の店の価格調査をしたり、相見積もりを取ってみたり。

お店側も、そんなお客さんを取り込もうと

「他店より高かったら、その分値引きします」

と表示し、積極的に競合を仕掛けています。


でも、これは、全く同じものを売っているからできることなんです。

家づくりで同じことをしたら、良い家を建てるのは難しくなります。


複数の業者に見積もりを出してもらう時、

全く同じ間取りで、全く同じ材料を使った家の見積もりを

依頼するわけではありませんよね。

同じにできるのは広さくらいでしょうか。

だから、もし

「金額が安い方に決めたい」

と思っていても、

全く同じ条件でない限り、見積りでは比べること自体ができないのです。


これは、当然のことといえば当然のことです。

ですが、実際にこんなことをする人はいます。

金額で判断することが習慣化していることや、

贅沢を望まず、家に合わせた暮らしができる人には、

それほど家にこだわりがないからなのかもしれません。


家づくりでは、金額を減らそうと思ったら、結構減らせます。

安い材料を使えばいいのですから。

ただ、金額と反比例して家の寿命は縮まります。

そして、シックハウスの危険性が高まります。

これが怖いんです。

合板、壁紙、接着剤塗料・・・

安いだけの家には、あちこちにシックハウスの原因物質が使われています。

広さを確保しながら金額を抑えるためには、

こういったもので家をつくるしかないからです。


そんな家に住み続けた結果、シックハウスを発症して体調を崩したり、

家に帰ることがイヤになったりします。

シックハウスの症状がひどい場合、長期間の通院も必要ですから、

逆に高くつくことにもなりかねません。


家族で幸せに暮らすための最低条件は、「健康に過ごせること」です。

食の安全には気を付けていても、住まいの安全には気づかないこともあります。

あなたが、今までそれに気づいていなかったのなら、

それは、今の住まいで健康に暮らせているからでしょう。

安物買いの銭(=健康)失いにならないよう、注意してくださいね。

 

では、また。
 

 

 

 


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家づくりの目的が変わってきていませんか?

[ テーマ: 住まいづくり情報 ]

2012年9月16日08:00:00

こんにちは、若松です。


最近の住宅会社の広告を見ていると、

建物の性能に焦点を合わせた家づくりを強調するものが増えたように感じます。

電力不足が心配される今、これは仕方のないことなのでしょう。

ただ、家づくりの目的や、家の役割があやふやなまま家を建てて、

住み始めてから後悔する人が出てくるのでは、と気になります。


ところで、

家づくり経験者が、家を建てたきっかけって何だと思いますか?

いくつかの調査によると

 ・住む人の変化・・・結婚、出産、家族の成長など

 ・住んでいる家への不満・・・広さ、老朽化、耐震性、耐火性、場所など

 ・暮らし方の変化・・・親世帯との同居や別居、定年退職、転勤、転職など

がほとんどでした。

このようなきっかけをもとに、

「今よりもっと家族が幸せに暮らせる家を建てたい!」

と、家づくりの勉強を始め、少しずつ前進していくのです。


住宅会社も、そんな家族の変化に合わせて

 ・子育て世代に優しい家

 ・家族の家事負担を減らす家

など、家族を主人公にした家づくりを提案していました。


ですが、最近は

 ・省エネ・高断熱・高気密の家

 ・創電・蓄電できる家

 ・エネルギーの管理ができる家

と、家の機能・性能が重要視され、家づくりの目的を

「今よりエネルギーを効率よく使うために」

と強調するものが増えてきました。


確かに電力の問題は大切です。

でも、

「だから、性能を優先した家づくりでないといけない」

というのは、必ずしも正しいとは言い切れません。


日本の各地では、それぞれの気候に合わせた家づくりをすることで、

季節の変化に対応していました。

気温・日差し・風の強さ・・・

それぞれの地域には、いろんな特徴がありますからね。

そもそも、電力が豊富ではなかった時代は、

電力を消費しない家づくりができていたんです。

ただ、家族の暮らし方の変化により、電力消費量が高まっただけなんです。

 ・家族のそれぞれが個室を与えられている

 ・テレビ・パソコン・携帯ゲームが普及し、個人で過ごす楽しみが増えた

 ・好きな時間に入浴するので、そのたびに追い焚きしている

 ・目隠しのためにカーテンを閉めっぱなしなので、照明が欠かせない

などなど。


コミュニケーションが少ないと、『家族』はやがて『同居人』になります。

お互いを知る機会が少ないと、心は少しずつ離れていきます。

それに、いくら性能の優れた家を建てても、

家族がそれぞれの場所で過ごしたら、それなりに電力を消費します。


ですから、

家族が自然に集まるような空間について、考えてみてください。

美術館や喫茶店など、家族が気に入っている場所があるのなら、

その空間にどんな工夫がされているのかを考えてみるのもいいですね。

例えば、壁の色や素材を替えただけでも、

何となく居心地が悪くなることもあれば、ゆったりとリラックスすることもあります。

広い空間にいると落ち着かず、ちょっと狭い空間の方が快適、という人もいます。


そんな家族の気持ちは、家族が一番知っています。

業者にそこまで理解を求めるのは、なかなか難しいでしょう。


毎月の電気代を減らすために新築しようとしていませんか?

家族がバラバラに過ごしたら、

高性能の家を建てても、逆に電気代は増えるかもしれないことに気づいていますか?


家の性能は、もちろん大切です。

でも、『家族』でなく『建物』に焦点を合わせた家づくりをすると、

住み始めてから後悔するかもしれませんよ。

 

では、また。
 

 

 

 


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坪単価のカラクリにごまかされないでください。

[ テーマ: 住まいづくり情報 ]

2012年9月23日08:00:00

こんにちは、若松です。

 

業者選びをする時、『坪単価』を比べる人がいます。

金額を比べるのに手っ取り早い方法だと思うのでしょう。

実際に、先日訪れた住宅展示場でも、

「このモデルハウスの坪単価はどれくらいですか?」

と尋ねている男性がいました。


(私は人の観察をするために、イベント開催中の展示場に出かけることがあります。

 イベント期間中は大勢のお客さんがいるので、営業攻撃を受けずに観察できます。

 建築予定がないことを伝えると、どの営業マンも放っておいてくれますしね。)


ところで、新築経験がある人に尋ねたところ、

業者が宣伝していた坪単価と、実際の坪単価では、

10万円以上の開きがあったとか。

今回はハウスメーカーで建てた3人に聞いたのですが、3人とも同じ答えでした。

これは、彼らと業者の考え方が全く違うためです。

彼らは、建てるために必要な金額を坪数で割って計算しました。

基礎・電気・水道工事なども、もちろん含まれます。

でも業者の場合、ほとんどの関連工事を除外して計算していたのです。


また、『工事面積』『延べ床面積』という言葉を使い分けて、

わざと分かりにくい表現をしている場合もあります。

そんな業者に依頼すると、

「こんなはずじゃなかった。だまされた」

「ベランダもロフトも別料金?どうして?」

と不信感を抱いてしまいます。


逆に、このカラクリを知っていると、

坪単価に惑わされずに判断できるようになります。


ハウスメーカーなどのチラシを見てください。

チラシの隅に、小さい字で注意書きがありませんか?

そこには、とても大切なことが書かれています。

「坪単価には、〇〇と〇〇は含まれません」

とか。

それをあまり知られたくない業者は、あえて小さな字で書くのです。


では、どうやって比べたらいいんでしょう。

それにはこの質問です。

「住める状態にするには、全体でいくら必要ですか?」

住める状態にするには、電気工事も水道工事も必要です。

キッチンもお風呂も玄関ポーチもない家なんて、不自然な家ですから。

この質問をすると、業者は本当に必要な金額を提示するしかありません。

その金額で、初めてあなたが求める『坪単価』を計算できるのです。


『標準プラン』がある場合、

『標準工事』に『オプション工事』を加算して、見積書に表示されます。

一方、工務店の場合、そもそも『標準工事』となるものがありません。

住める状態にするまでの必要金額を表示します。

目先の割安感に惑わされないよう、カラクリを知っておきましょう。


「住める状態にするには、全体でいくら必要ですか?」

ぜひ尋ねてみてくださいね。

 

では、また。
 

 

 

 


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本当の「注文住宅」って?

[ テーマ: 住まいづくり情報 ]

2012年9月30日08:00:00

こんにちは、若松です。

 

あなたは、

「注文住宅」という言葉に、どんなイメージを持っていますか?


ハウスメーカーの営業マンは、よく

「当社は注文住宅を建てています」

と売り込んできます。

でも実際に家づくりを始めると、

「それは無理です」

「それはできません」

と言われるシーンが多々あります。


それは、やり方や材料に制限があるからです。


数多くの営業所を効率よく維持管理するには、

ある程度の制限が必要になります。

そこで、ハウスメーカーでは『標準プラン』を用意しています。

そして、それをある程度アレンジできる『オプション』も用意しています。

その範囲の中で、できることは頑張ってくれるのですが、

範囲外のことは

「できません」

「できることはできますが、ちょっと高くつきますよ」

と言って、あきらめさせることがあるのです。


そういえば、うちのスタッフも、そう言われた経験があるそうです。

「それより、こちらのプランの方がいいですよ」

と別の提案をされたとか。

スタッフいわく、

「『いい』というのは、私の家族にとっていいということではなく

 『自社にとって都合がいい』と言っているように聞こえました」

とのこと。

もちろん、そのハウスメーカーでは建てなかったそうです。


一方、工務店や設計事務所の場合、得意分野はあっても、

『標準プラン』はないので、注文住宅が当たり前です。

もちろん、能力不足などで対応できない場合はあるでしょう。

でも、お客さんの要望を叶えるのが大前提なので、

本当の注文住宅を建てたいのなら、こちらを選ぶことをお勧めします。

自然素材を使った家づくりを考えている方なら、特にそうですね。


ただ、そのためには十分な打ち合わせが必要になります。

あなたは、家族の生活スタイルや考え方をさらけ出さないといけません。

うわべだけの会話では、あなたの思いを汲みとれないこともありますからね。

ですから、そういったことに抵抗を感じるのなら、

思うような家づくりはできないかもしれません。

でも、そこを乗り越えたら、あなたと家族の生活に合った、

本当に納得のできる注文住宅を建てられるのではないでしょうか。

 

では、また。
 

 

 

 


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