子ども部屋にカギは必要か?

[ テーマ: 住まいづくり情報 ]

2012年5月6日08:00:00

こんにちは、若松です。

 

前回、「子ども部屋をいつ与えるか」

ということについてお話ししました。

『子ども部屋を与える時期が、子どもの人格形成に影響を与える』

というのは、とても考えさせられる話ですね。


今日は、

「子ども部屋にカギは必要か」

ということについてお話します。


いきなりですが、ズバリ結論を言いましょう。

子ども部屋にカギは必要ありません。

必要なのは、家族のマナーです。


ここで、あなたご自身のことを振り返ってください。

「自分の部屋にカギがあればいいのに・・・」

と思ったことがありますか?


あるとすれば、なぜ欲しいと思ったのかを思い出してください。

「留守中に、家族にドアを開けられるだけでもイヤだ」

「家族に見られたくないものがあるから、部屋をチェックされるのがイヤだ」

「着替えている時、突然入ってきたらイヤだ」

「部屋の様子を見て『片付けろ』『掃除しろ』と言われるのがイヤだ」

いろんな理由が出てくるでしょう。


その思いの裏側には、家族に対する不信感があります。

お互いが最初からマナーをわきまえていたら、

そもそも不信感は生まれません。


ですから、どうしてもカギが欲しいとねだる子には、

・入る前に必ずノックし、許可を得てからドアを開ける。

・留守中は、絶対に部屋に入らない。

・留守中に部屋に入る場合、「掃除」「換気」など、理由を事前に伝えておく。

・部屋のものを勝手に触らない。

・本人以外は、掃除も片付けもしない。

など、『家族間でのルールを守ればカギは必要ない』ということを話し合い、

お互いが徹底して守るようにしましょう。


それでもどうしてもカギをつけるのなら、机の引き出し1つ。

カギ付きでない場合は、小さな金庫を与えるなど、

秘密を抱える部分を極力減らしてください。


ところで、ある知人の家では、

3人の子どものうち、高校生の長男だけがカギ付きの机を使っています。

そこに入っているのは、現金とゲームソフトとお菓子などです。

なぜそれを知人が知っていると思いますか?

「下の子たちが勝手に触るから、触られたくないものはここに入れとくね。

 カギはここに置くから、俺が忘れた時には教えてね」

と、本人に頼まれているからです。

知人は、昔から

「自分がされてイヤなことは、人には絶対にしない」

ということを徹底している人です。

その行動で、子どもの信頼を得ているんですね。

一方、下の子たちは、

勝手に部屋に入ってゲームを物色したことがあるので

もう信用できないんでしょう。


新築する時に、

・子ども部屋にカギをつけるか

・つけるとしたら、どの程度のカギをつけるか

ということで悩む人は多いんです。


でも、

「子どもに部屋を与える」

ということは、

「この子は、もう独立した個人として扱えるようになったから、

 プライバシーを確保できる空間を与えることにしよう。

 与えたからには、必要以上の干渉をしないでおこう」

ということです。

ですから、家族が断りなく侵入するのはルール違反なんです。


カギがあると、子どもの意思で外の世界を遮断できるようになります。

親の意思は、全く反映されません。

というか、カギを与えた時点で

「外の世界との関係を断ってもいいよ」

と、親自身が許可していますよね。

そうなると、万が一、そこで犯罪が生まれていても発見しにくくなります。

事実、そこで子どもを監禁したり、麻薬パーティーをしたり、

という事例があります。

仲間と喫煙や飲酒をした事例は、枚挙にいとまがありません。


子ども部屋は子どもの空間ですが、その家の所有者は親です。

子どもは親の所有物ではなく、独立した個人です。

そこをわきまえて行動することを、家族で何度も話し合ってください。

考え方を全員が共有することができたら、

もうカギの問題で悩む必要はありませんよ。

マナーをわきまえて行動できる、素敵な個人が誕生するだけです。

 

では、また。
 

 

 

 


追伸 感想や質問などのメールは大歓迎です。

ただし、ネガティブなメールは萎えるのでいらないです。

 


子ども部屋で一人で食事する子を想像してみてください。

[ テーマ: 住まいづくり情報 ]

2012年5月13日08:00:00

こんにちは、若松です。

 

前回、「子ども部屋にカギは必要か」

ということについてお話ししました。

プライバシーについての考え方は人それぞれなので、

うまくすり合わせるのは難しいですね。

でも、コミュニケーションが取れない家族は寂しいものです。

もはや、「家族」として成り立っているとは言えません。


ですから、家づくりを始めたら、

「程よいコミュニケーションを取れる距離」を常に意識してください。

大きな失敗を防げます。


ところで、「孤食」という言葉がありますね。

文字が表す通り、「一人で食事する」という意味です。

子どもだけで食事する、という意味もあります。

両親が共働きのカギっ子が、

ダイニングで一人寂しく食事をする様子が、頭に浮かんでくる言葉です。


ですが、そんな事情があるならともかく、

家族がダイニングで食事をしている時に

自らが望んで、自室で「孤食」をしているケースも多いんです。


といっても、別に親と喧嘩しているわけではないんですよ。

ただ、

「自分の好きなテレビ番組を見ながら食べたい」

「一人の方が落ち着く」

とか。

そんな理由なんです。


「いやあ、自主性が育って良いじゃないか」

と思う親はいませんよね。


食事の時間は、家族が同じ場所に集まる貴重な時間です。

コミュニケーションで相手を理解する場でもあり、

食事のマナーを教える教育の場でもあります。


一方、自室での孤食は、

好き嫌いを助長したり、栄養が偏ったり

食事のマナーが育たなかったりと、良いことがありません。

非行の割合が高い、というデータもあります。

何より、テレビを見ながら淡々と口に食べ物を運ぶなんて、

料理を作った人に失礼です。

これらの理由からも

「孤食をさせない」というのは、食育の大切なテーマなんですよ。


後々、孤食を続けた子が親になった時を想像してください。

自分の子どもに食育ができるのでしょうか。

それとも、それぞれの部屋に分かれて食事して、

最初からダイニングなど設けないのでしょうか。


あなたの家の子ども部屋で、

やっていいことと悪いことは何でしょうか。

食事、おやつ、テレビ、ゲーム、

パソコン、ケータイ、勉強、睡眠・・・。

それを、すべて子どもの自主性に任せるのも一つの方法でしょう。

ですが、それで本当に大丈夫でしょうか。


子ども部屋を与える時は、必ず子どもと話し合って、

最初にルールを決めることをお勧めします。

そして決めた後、あなた方ご夫妻は決してぶれないでください。

「1回くらい・・・」

と許すと、ひどく後悔することになるかもしれませんから。

 

では、また。
 

 

 

 


追伸 感想や質問などのメールは大歓迎です。

ただし、ネガティブなメールは萎えるのでいらないです。

 


子どもを高層階で育てることのデメリットです。

[ テーマ: 住まいづくり情報 ]

2012年5月20日08:00:00

こんにちは、若松です。

 

最近、ずっと子ども部屋をテーマにして書いています。

「ウチは子どもがいないから、もういいよ」

と思っているのならごめんなさい。

もう少し続けさせてください(笑)。


なぜこれほど話すかと言うと、

子どもが育つ環境を決められるのは親だけだからです。

「どんな子どもに育てたいか」=「どんな環境で育てるか」

ということだからです。


ということで、今日は、高層マンションの弊害についてお話しします。

普段の私は一戸建てをイメージしながら書いているので、

高層マンションのことには滅多に触れません。

ですがあなたは、

一戸建てと高層マンションのどちらにするか、

迷っているかもしれませんよね。

もしそうだとしたら、

今日お話しすることを知ってから検討してほしいんです。


ちょっと前のものですが、分かりやすいチェックリストを紹介します。

『高層マンション居住が子育てに与える影響研究』

の第一人者である織田正昭氏。

彼が作成した

『高層マンション子育ての危険―都市化社会の母子住環境学』

のチェックリストです。


   - - -  ここから  - - -  


【こんな人は高層マンションの子育てには向いていません。】

1. 子どもは高いところにいてもまったく平気でいる

2. 子ども連れの外出は面倒くさいと思う

3. 周囲の振動・騒音などがすごく気になる

4. ベランダから物を投げ落としたことがある

5. ベランダも子どもの遊び場として活用している

6. 外出時、帰宅時に周囲の不審者・不審物は特に気にならない

7. 非常時の避難方法・連絡方法にあまり関心が無い

8. エレベーターにのるとき、事故・犯罪は特に気にしない

9. 知らない人が来たら、親切に用件を聞いてあげる

10. 家の外でも中でも子どもは常に自分の目が届く範囲にいないと不安だ

11. 外出時には、窓を開け放して外出することが多い

12. 近所付き合いはわずらわしいと思う

13. 趣味、サークル活動には興味・関心が無い

14. 子どもに本を読んであげるよりもテレビを見せることが多い

15. 子どもが家の中で遊んでいるとわずらわしい

16. 在室していても常に窓を閉め切っている

17. 何かとストレスを受けやすいほうだ

18. なんとなく体の調子が良くない

19. 家族一緒の食事は少ない

20. お父さんまたはお母さんが、家でタバコを吸うことがある

21. 自分の体重や血圧はあまり気にならない

22. 家の中で簡単な運動・体操をすることはない

23. 幼少時から子ども専用の部屋は必要だと思う

24. 育児をしていると社会的に取り残されないかといつも不安だ

25. 育児はやはり女性(母親)の仕事だと思う

 

“はい”の数は何個ありましたか?

20個以上 ⇒あなたは高層マンションでの育児に向いていません。

15個以上 ⇒要注意です。住み方の改善が是非必要です。

10個以上 ⇒高層マンションでの育児は可能です。でも油断は禁物です。

5個以上 ⇒今の住み方で大丈夫です。

4個以下 ⇒高層マンションでの育児に向いています。


   - - -  ここまで  - - -  


いかがでしたか?

ちなみに私が該当したのは1個でした。

このチェックリストだけで、

子どもを高層階で育てるデメリットが見えてきますね。

育児中は、ただでさえストレスを感じる母親が多いものです。

それが、高層マンションなどで外出の機会が減ると、

母子ともにストレスが増加します。

子どもの自立の時期が遅れる傾向があることも分かっています。


もちろん、その危険を知っていて、

外出回数を増やすなどの対策をしている家庭は別です。

ですが、

「兄弟もいるし、3歳になったら幼稚園に通わせるから大丈夫よ」

と放っておくと大変です。

他者と関わる能力が身についていない子どもが、

突然の環境の変化に対応できると思いますか?

当然、中には対応できない子もいます。


高層階で、他者との接触が少ない子に目立つのは

「協調性が無い」

「すぐキレる」

といったことです。

でも、それは彼らのせいではありません。

コミュニケーション能力や社会性など

必要としない環境で育っただけなんです。


これについては、また次回お話します。

では、また。
 

 

 

 


追伸 感想や質問などのメールは大歓迎です。

ただし、ネガティブなメールは萎えるのでいらないです。

 


閉鎖的な環境での子育てで失うものがあります。

[ テーマ: 住まいづくり情報 ]

2012年5月27日08:00:00

こんにちは、若松です。

 

前回から、高層マンションの弊害についてお話しています。

ちなみに、ここで言う「高層マンション」とは5階以上のことです。

「私は一戸建てを建てるから大丈夫よ」

なんて油断しないでくださいね。

一戸建てでも、

高層マンションと同じような閉鎖的な環境で過ごせば

あなたにもお子さんにも、同じような問題が起きるんです。


さて、前回

「協調性が無い」「すぐキレる」といった子どもは、

コミュニケーション能力や、社会性を

必要としない環境で育っただけである、

という話をしました。


そんな環境って、一体どんな環境なんでしょう。


戦後の高度経済成長の時代から、

核家族化が一気に進みました。

この時点で、祖父母などの異世代と関わる時間が減ります。


また、最近は自治体への加入率が下がる傾向にあります。

「班長などの役が回ってきたら面倒」

「掃除などの行事が面倒」

「加入金や会費などの金銭的な負担がイヤ」

など、様々な理由があるでしょう。

ですが、これにより

子どもの社会性・協調性を育てる機会を失っています。


地域との関わりが減ることにより、

子どもを厳しく・優しく見守ってくれる大人が減ります。


このようにして、どんどん閉鎖的な環境を作り出していくんですね。


やがて母子で過ごす時間が長くなると、

お互いに依存するようになります。

家族以外の他者と理解し合う経験が少ないまま育てられた子は、

心を通じ合わせる努力も喜びも知らないまま、

いきなり集団生活の場に放り出されるのです。


高層マンションの場合、子ども連れでの外出が大変なので、

そういった環境になりやすいのですが、

一戸建てでも、保護者の性格次第では

同じように閉鎖的な環境を作り出します。


テレビ・ゲーム・ビデオなどの影響も言われていますが、

それらはうまく使いこなせばいいだけの話です。

ですが、環境をうまく使いこなすのは難しいですよね。

まず家族が求める暮らし方を考え、

それに合った環境を追求したいものです。


いずれにしても、大事なのは両親が正しい知識を持つこと。

そして、対策を考えた上で高層マンションを選ぶのなら

それも一つの方法でしょう。


ただ私は、どうしても

あなたに高層マンションでの育児をしてほしくありません。

イギリスでは、4階以上での子育てを禁止した条例があります。

子どもにとって、それほどまでに「環境」は大切なことなのです。


賃貸で高層マンションを選ぶのならともかく、

購入するとなれば、

・人体に与える影響

・地震や停電時の対策

・育児中の騒音

・老後など、体が不自由になった時の対策

など、十分に勉強しておかなければなりません。


住まいづくりの目的は

「あなたと家族が、今以上に幸せに暮らすため」

なのですから。

 

では、また。
 

 

 

 


追伸 感想や質問などのメールは大歓迎です。

ただし、ネガティブなメールは萎えるのでいらないです。