高齢になった時を想像してください。

[ テーマ: 住まいづくり情報 ]

2012年6月3日08:00:00

こんにちは、若松です。

 

気付けば、前回まで6回も子ども部屋についてお話していましたね。

「子どものために・・・」

と家づくりを決意する方が多いので、ついつい気合いが入ってしまいました。

今日からは、子ども部屋から離れたテーマでお話しますね(笑)。


ということで、今日のテーマは

「あなたが高齢・体が不自由になった時」。

これも大切なテーマなので、ぜひお付き合いください。


先ほど

「子どものために家づくりを決意する方が多い」

と言いましたね。

遊び・片付け・睡眠・受験・プライバシー・自立・・・

そんな子どもの成長を考えながら、家づくりを考えていきます。


その結果、その住まいは

あなたが高齢になった時、あるいは体が不自由になった時、

とても危険の多い、住みにくい場所になるかもしれないんです。


さて、ちょっとこちら(↓)を見ていただけますか?

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/furyo10/dl/gaikyo.pdf


これは、厚生労働省の資料です。

明治32年から平成20年までの「不慮の事故」に関する統計が記載されています。

交通事故や家庭内での事故・・・。

その原因や年齢・・・。

家族に置き換えながら見ると、より興味深いですね。


第5表を見ると、家庭での事故件数が突出していることが分かります。

そして第6表。

家庭内の事故による死亡者は、平成7年度以降は1万人を下回ることがありません。

家の性能は向上しているはずなのに・・・。


なぜか?

・・・なぜだと思いますか?


日本の高齢化が進んでいることも原因でしょう。

でもそれだけではないと思います。

昔ながらの家と、最近の家を思い浮かべてください。

折り込みチラシの間取り図でも構いませんよ。


あなたの頭に浮かんできたように、今の家は部屋が細かく仕切られています。

お互いのプライバシーを尊重し、静かで快適な空間を作ろうと思うと、

どうしてもそうなるんですよね。


ですが、これは高齢者にとって「危険個所が増える」ということなんです。


あなたも一度は経験があると思いますが、

タンスの角や壁に足の指をぶつけると、とにかく痛いですよね。

骨が弱った高齢者なら、それだけで骨折することがあります。

また、立ちあがった時、よろけたり立ちくらみを起こして

近くの家具や壁で頭を打つこともあります。

それがきっかけで、寝たきりになる事例は数多くあります。


これは赤ちゃんを育てる時にも痛感することですが、

部屋数が増え、小さな空間が増えるほど、危険の数も増えるのです。


ですから、家づくりをする時、

ご夫婦が高齢になった、体が不自由になった、

と想像して考えてください。


・その玄関や階段の段差は、足が不自由になっても対応できる高さか

・入浴や排せつが一人でできなくなった時、その広さで介助ができるのか

・1階で洗った洗濯物を2階に運ぶ途中、階段から転落する危険はないのか


・・・いろんなことが頭に浮かんできますね。


手すりのように後付けしやすいものは、後から増やしてもいいでしょう。

でも、段差を低くしたり空間を広げるリフォームは、多額の資金が必要です。

「子どもの教育費が終わって、やっと老後の資金を貯められる」

という時に必要以上のリフォームをしなくて済むよう、

最初にイメージを膨らませた家づくりをすることは大切ですよ。

 

では、また。
 

 

 

 


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ただし、ネガティブなメールは萎えるのでいらないです。

 


短期的な考えの業者では失敗します。

[ テーマ: 住まいづくり情報 ]

2012年6月10日08:00:00

こんにちは、若松です。


2012年1月30日、国立社会保障・人口問題研究所は、

「2060年の人口が8674万人まで減る」

という『日本の将来推計人口』を公表しました。

テレビや新聞でも盛んに取り上げられたので、

あなたもご存知でしょう。

今と比べると、32.3%の人口が減る計算です。

また、平均寿命の予測は、男性が84.19歳。女性が90.93歳。

女性が生涯に出産する人数は、1.35人と予測しています。

人口を維持する目安は2.07人とされていますから、

かなり厳しい状況です。


といっても、収入も増えず、増税ばかりの現在の日本では

「産むのが怖い」

と思うのが当然ですよね・・・。


ということで、あなたが高齢者になる頃、

日本は超高齢化社会になっています。

老人用の施設は入居待ちの人が大勢で、

いつ空きが出るか分かりません。

また、少ない若者が大勢の年金を支えるので、

おそらく年金額も減少します。


となると、家庭で老後を過ごす人が増えますよね。

といっても、今日本でつくられている家の多くは、

自宅で介護できない家です。

車イスで動く、介護者と並んで歩く、

といったことができない家なんです。


ちなみに、ヨーロッパでは、個人の家も大切な福祉施設として捉えられ、

国の政策にも活かされています。

ですが、日本の場合は個人任せ。

一方で、病院に長期入院するのは難しく、

介護施設は常に予約でいっぱい。

ですから、前回お話ししたように

「最初にイメージを膨らませた家づくり」も大切ですが、

それと同じように「どんな土地を選ぶか」も大切なことなんです。


現在の家は、建ぺい率いっぱいで建てられているものが多く、

介護のためのリフォームをしたくてもできないことがあります。

建築基準法に抵触するからです。

ですから、

建ぺい率に余裕を持たせるために、ちょっと広い土地を選ぶか、

 最初から介護を想定した家づくりをするか。


「それなら広めの土地に住むために、郊外の土地を探そう」

というあなた。

老後、車の免許を返納した後でも買い物に支障はありませんか?

今は宅配も普及してきましたが、まだまだ不便な地域もありますよ。


与野党共に互いの攻撃で忙しい国会議員は、

福祉のことは二の次です。

それに、彼らに生活者の視点や経験が欠けているのは周知の事実。

ですから、私たち一人一人が、自分と家族のこれからを

しっかり考えないといけません。


あなたは、老後をどこで過ごすか考えていますか?

もし一生を自宅で過ごすのなら、介護しやすいだけでなく、

老後の趣味を満喫できる、安全で快適な家をつくりたいものですね。


となると、断熱・段差・間取り・・・

とてもじゃありませんが、あなた一人で考えるには限界があります。

知識と能力があり、あなたの思いをしっかり組み取ってくれる業者を

じっくり選んでください。

短期的なものの考え方をする業者に依頼すると、まず失敗しますから。

 

では、また。
 

 

 

 


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用途が少ない部屋は必要ですか?

[ テーマ: 住まいづくり情報 ]

2012年6月17日08:00:00

こんにちは、若松です。


「この家は解放感があるな~」

と感じるのは部屋数が多い家でしょうか。

それとも部屋が広い家でしょうか。


・・・そうですね。

答えは「部屋が広い家」です。


「家族が増えて手狭になったから、もうアパート暮らしはいやだ」

と家づくりを始めたものの、

「やっぱり個室は必要かな」

と、部屋数を重視した家づくりをする人は多いものです。


ただ、実際に建てた人に聞くと

「滅多に来客がないのに客間をつくったら、

他の部屋が狭くなってしまった」

「正味10年ほどしか使わない子ども部屋を最優先にしてしまった」

「家族の数だけ個室をつくったら、どれも狭い空間で解放感がない」

という後悔の声が・・・。


資金に余裕があるのなら、部屋数を多くし、

それぞれ広い空間にすることもできます。

でも、それを実現するのは難しいですよね。

ですから、もし解放感を望むのなら、

部屋数を減らすことを考えてみましょう。

家づくりでは、間仕切りの数だけ金額が増えます。

解放感を得られて金額も抑えられるのなら、一石二鳥ですよ。


ところで、あなたがイメージしている家の部屋数は

いくつですか?

試しに、それを一部屋減らしてみましょう。

すると、他の空間が広くなりますね。

「来客はほとんどいないから、

リビングとダイニングを分ける必要はないかな」

「リビングの代わりに広めの和室をつくったら、

畳の上でゴロゴロできるな。

そうしておけば、来客があった時には寝室としても使えるな」

と、いろんなアイデアが浮かんできます。


海外では、リビングは客間・ダイニングは生活空間というように

うまく使い分けがなされています。

一方日本では、リビングにはテレビとソファーが

向い合せに置いてあるだけ。

家族はダイニングでリラックス。

そんな家庭も多いんです。


せっかくリビングをつくったのに、これではもったいないですね。

それなら、ダイニングにリビングの要素を取り入れて、

一つの空間として考えた方が、解放感を味わえるというものです。


それぞれの部屋がどう使えるかを考えてください。

多目的に使えるほど、その空間は生きてきます。

「リビングでテレビを見ながら食事してるよ」

という家庭なら、ダイニングを設ける必要はないかもしれません。

「大人だって自分の空間が欲しい」

と家事室や書斎を設けても、ダイニングで過ごす方が好きなら

家事室も書斎も使わないかもしれません。

むしろ、ダイニングの一角に仕切りを設け、

そこをあなたの空間にした方がいいかも。


業者によっては、最初のひと言が

「何部屋必要なんですか?」

から始まる場合もあります。

でも、もうあなたは

「部屋数はそれほど重要ではない」

ということはお分かりですよね。


大切なのは、そこでどう暮らすかということ。

それを最初に考えてください。

 

では、また。
 

 

 

 


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住宅雑誌の情報は誰に有利?

[ テーマ: 住まいづくり情報 ]

2012年6月24日08:00:00

こんにちは、若松です。


私は休日の書店巡りが好きです。

本好きなので、本のチェックが一番の目的なのですが、

ついでに人を観察して楽しんでいます。


中でも、一番興味深いのが住宅雑誌を見る人たちです。

他のコーナーは一人で立ち読みする人が目立つのですが、

そこは夫婦で話しながら見ている人が多いんです。

住宅雑誌には、資金計画のことから業者探しまで、

さまざまな情報が紹介されています。

ほとんどの人は、家づくりを考え始めた頃、

何の知識もありません。

そんな状態で、下手に展示場に行くのは不安ですよね。

そこで、住宅雑誌で基礎知識を身につけようという人も多いんです。

あちこちのホームページを見るよりも中立性があり、

安心感を感じるのかもしれませんね。


でも、あなたが見ている住宅雑誌は、

本当に中立・公平なんでしょうか・・・。


ほとんどの住宅雑誌は、広告収入が大きな収入源になっています。

ですから、スポンサーやクライアントの意向を無視することはできません。

彼らに不利なことは、まず記載されることはありません。

逆に、あなたには多少不利でも、彼らにとって有利なことなら

そのまま記載されることもあります。


以前紹介した、ある雑誌社の話ですが、

職人の特集を組もうとしたところ、

広告主のハウスメーカーからクレームがつきました。

なぜなら、ハウスメーカーにとって職人意識と言うのは、

邪魔にしかならないものだからです。

下手に職人魂を発揮されると、コストはかかる、工期は延びる、

監督しにくいなど、全くいい事はないのです。


彼らの家づくりのスタイルからすると、その反応は当然のことです。

ですから、彼らから広告収入を得たい雑誌社の場合、

彼らの家づくりをアピールするような内容になるのは仕方のないこと。


私は

「このような雑誌を買ってはいけませんよ」

と言っているのではありません。

参考になる記事も沢山ありますからね。

ただ、

「その雑誌の視点を理解して、冷静に読んでくださいね」

とお伝えしたいのです。


ハウスメーカーの家づくりを好む人もいれば、

こだわりの家づくりを好む人もいます。

自分の方向性がわからないまま情報を取り入れすぎるのは、

良いことではありません。


冷静さを忘れないでくださいね。

 

では、また。
 

 

 

 


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