工務店の特徴
工務店とは、いくつかの専門の施工工事業者を管理し、工事全体をまとめて請け負う業者のことを言います。
個人住宅を請け負うのは、50人くらいまでの中小規模の工務店で、通常、設計と施工の両方を行います。まれに外部の建築家が設計をすることがありますが、契約対象や話し合いなどすべて、その工務店一社とすることとなります。
工務店と銀行は、スムーズにローンを組むことができ、工務店によっては、ローンを組む作業を代行します。
工務店の形態には大きく分けて、
●大工さんタイプ
●設計にある程度力をいれているデザイン重視タイプ
●施工専門タイプ、フランチャイズタイプ
●自社商品を売るハウスメーカータイプ
●建売住宅を分譲して売る地域密着型のパワービルダータイプ
などがありますが、ほとんどの工務店はこれらを混ぜ合わせた形で、工務店の数だけ種類があるほどです。
通常は工務店に設計と施工を依頼することになるので、施工専門タイプ以外が対象となります。
工務店は、ほぼ原価に近い金額で、狭く複雑な形の土地でも安く建てられます。期間も建築家ほどはかからず、仮住まい費用や諸費用は抑えられます。ただし、土地も購入する場合は、土地の値段によって総額は変わります。
工務店の主業務は設計ではなく施工であり、保守的な傾向もあり、自社が安く仕入れられる材料にこだわっているので、設計が大幅に制約されることがあります。
また、フランチャイズタイプの工務店や特定の構造や住宅設備を売りにしている工務店は、ハウスメーカーと同じように設計に制約があります。
デザインは工務店により、建築家とおなじくらい力をいれている工務店とそうでもない工務店がありますが、ほとんどの工務店は建築家よりデザイン力は劣ります。
また、会社内で管理をする人とされる人が一緒なので、信頼できるかどうかなかなか判断がつきにくいという事が工務店のデメリットといえます。
工務店選びはハウスメーカー選びや建築家選びよりも難しく、選択の基準としては、家の概要計画や平面図と金額の安さになると思いますが、安さばかりにこだわりすぎると危険です。
また、しっかりした図面があっても、施工の段階で図面どおりか、工事管理がしっかりしていないと、契約したあと手抜きしたり追加工事の請求があったりと、悪質な業者も残念ながら少数います。
工務店選びを成功させるには?
工務店選びを成功させるには、金額、工務店の信頼性、担当者の対応、会社の実績、技術力、保証内容などを総合的に判断して選ぶことが大切です。
工務店にはそれぞれメリットとデメリットがあります。
取り寄せた資料やホームページなどで、どのような業態で、何が得意で何が不得意なのかをよく確認し、家の構造や住宅設備など分からないことがある場合は、電話、もしくは訪問してよく確かめてください
そして、アポイントをとるとき、はじめに電話に出た人が自社名を名乗るかなど対応の仕方を見たり、実際に工務店へ行って、経営者や担当者と話しをしてみてください。会社の雰囲気は工事にもなんとなく現れるものです。
工務店やハウスメーカーには「住宅の品質確保の促進等に関する法律」の品確法というものがあり、施工者はその品確法によって、竣工後10年間の住宅の瑕疵(キズ)の修復を保証する制度(瑕疵担保保証)を義務付けられており、法律で義務付けられた保証と任意で申し込む保証があります。
また会社によっては、20年保証などもあります。
工務店独自の保証以外に、住宅金融公庫による構造を主体とした検査(工事中間時と完成時の2回実施)や(財)住宅保証機構の住宅性能障制度(建てようとする住宅を性能保証住宅として登録すると、一般に建てるより厳しい施工検査が実施される)や第三者機関の保証機構や保証会社に加入しているかどうかを確認しておくと安心です。
保証機関や保証会社ごとに保証の内容や種類が異なりますので、内容について十分な説明を受けてください。
また、これまでに手がけた建物や施工中の現場を見学して、建物のデザインばかりでなく建物の内外装の丁寧さや正確さをよく観察してください。
その他に、建築士や施工管理技士(国家資格)などのスタッフが技術や資格を有しているか、確認してください。
金額は安さに目を奪われがちですが、根拠なく安すぎたり、「一式見積り」などのことばを使っている場合は、「内容」をよくチェックしてください。
わかりにくいことなどがあれば、カタログや見本を見せてもらい、納得できるまで質問しましょう。気軽に質問ができなかったり、回答に時間がかかるようなら要注意です。
工務店で家を建てるとどのくらい期間がかかるの?
工務店で家を建てる場合、一般的には計画の開始から入居まで、約10ヶ月かかります。
(1)家の概要計画・平面図作成<約3ヶ月> |
(2)見積り・請負契約<約2ヶ月> |
(3)詳細・仕様打ち合わせ<約1ヶ月> さらに概要計画や平面図などの微調整をしたり、細かい造り付け家具など建物と一体となる仕上げ工事や素材、設備、色などを決めます。 |
(4)工事期間<約4ヶ月> 木造軸組工法や2×4工法などの施工方法や建物の大きさによって工事期間は異なりますが、一般的な木造住宅ではおおよそ4ヶ月掛かります。 |
地域密着
工務店との家づくりは、ハウスメーカーとの家づくりに比べ、少々の手間隙はかかりますが、環境や素材などにこだわりを持っている方、もしくは、増改築からリフォーム、日々の営繕まで、長く付き合えて安心して任せられるパートナーを必要としている方などにおすすめです。
工務店は基本的に「地域密着」。
つまり、地域への実績拡大に力点を置いている会社が多く、設計、施工、アフターメンテナンスまで、一貫して同じ工務店が行ってくれるので、頼もしいホームドクター的な存在になりえます。
なお、地域密着型なので、その地域の気候・風土に合った住宅を建てることに優れています。
また、材料費のコストダウンを見込める場合があります。
工務店には、独自のルートで特定の建材を安く仕入れ、積極的にコスト監理をしてくれるところもあるのです。
構造・工法・仕様などにこだわりは持っているものの、施工による制約事が少なく、建主の要望が叶いやすいという面もあります。
最近では、社内に設計室を設け設計に力を入れているところや、設計事務所と提携している工務店もあります。
プランの提案は、工務店によって無料の場合と有料の場合とがありますが、多くの工務店が無料で行っています。
プランの打合せは、営業担当者や設計者が行うなど工務店により異なります。
最近では設計に力をいれている工務店も増えてきましたが、具体的に要望を伝えないとつくり慣れた無難なプランを提案されがちです。
こちらの希望は、雑誌の切り抜きなどを集めたり、設計者とショールームやモデルハウスに一緒に行くなどして、具体的に伝えましょう。
プランの作成を通して、プランそのものだけでなく、各工務店の技術力、プランの柔軟性、最新設備への対応力なども評価します。
また、コミュニケーションをとる中で、その工務店の信頼性や顧客に対するスタンスなども見えてきますので、この期間は最終的に工務店を選ぶ際の判断材料を集める期間でもあります。
なお、工務店は文書や図面にあまり頼らず、口約束で決められることが少なくありません。この打ち合わせを元に請負契約を行いますので、打ち合わせ内容は必ず書面に残しましょう。
見積書を受け取ったら、まずざっと目を通してみましょう。
複数の工務店から見積りを取っている場合は、それぞれの見積書の明細を比較することによって、見積りの精度やその工務店がどの材料を安く仕入れることができるのかが分かります。
見積りの精度があまりにも低い場合は、総額が安かったとしても、後々利益調整のために手抜きをされたり、追加工事を余儀なくされたりすることがありますので要注意です。
総額が安い工務店につい目が行きがちですが、見積書からできるだけ多くのことを読み取り、総合的に判断することが大切です。
最近では透明性の観点から、材料の仕入れ原価、職人の手間賃、間接費や工務店の利益に分けることができますが、これらをはっきりと分けて表示する工務店も出てきており、今後はこの原価出しスタイルが主流になっていくものと予想されます。また、そのような企業姿勢も工務店選びの材料としてください。
契約
工務店の請負契約のタイミングは各社により異なりますが、大きくは次の2種類に分かれます。
◆詳細・仕様打合せの前に契約する
工務店の提案する標準仕様を元に、プランの打ち合わせを行い請負契約し、詳細・仕様打ち合わせはその後におこないます。
この場合には、まずは依頼する工務店を決めるという意味合いが強く、契約後に詳細・仕様打ち合わせを行いますので、請負契約の金額よりも価格が膨らんでしまう可能性があります。
契約書に添付される図面の内容、仕様書、見積書を確認し、現時点で何が含まれていて、何が含まれていないかを確認しておくことが重要です。
◆詳細・仕様打合せの後に契約する
設計や詳細・仕様打ち合わせを行い、最終的な建築費を合意した後に請負契約をおこないます。すでに十分な打ち合わせを行った後に契約をするため、契約後に大きく価格が変動することはありません。
契約書のポイント
・工期 工程表を添付し、着工日、竣工日、引渡日の具体的な日付を明記します。
・支払い時期 着手金、中間金の支払いの時期や金額を確認します。
・請負金額と契約内容請負金額や添付書類が打ち合わせの内容と相違ないか確認します。
・契約約款瑕疵担保責任や工事遅延の対処法、違約金について、不可抗力の災害に対することなど、トラブルが起きた時の対応が明記してあるか確認します。
・アフターメンテナンス
法律で義務化された瑕疵担保責任の他に、引渡し後の定期点検などを行うアフターメンテナンスの内容を確認します。
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