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建築家選びは正しい知識を得てからにして下さい

 

建築家との家づくりに必要な基礎知識

「そもそも建築家って資格がいるの?」

 名乗りさえすれば、誰でも建築家になれます。

 ただし、役所に建築物が法令に適合しているか、建築確認を申請するには、「建築士」という国家資格が必要なので、ほとんどの建築家は資格をもっています。資格を持たない人は他の建築士の名義で申請します。

 建物のデザイン重視で建築工事はしませんが、建て主に代わり工務店の工事をチェックします。一般に、「アトリエ系建築家」とよばれています。

 建築士には、一級建築士、二級建築士、木造建築士の3種類があります。設計は、土木か建築か、公共建築か商業建築か住宅か、大きな建物か小さな建物か、細かく分かれています。

 住宅設計は、住宅に関する法律や特有の細かい技術など、多くのことを一人でこなしたり、独特の難しさがあり、住宅を専門にしている建築家というのが条件です。

施工業者は誰が決めるの?

 施工は建築家のアドバイスのもとに、複数の工務店で相見積もりを行い、建て主が選びます。

 設計事務所の業務は、意匠、設備、構造設計、建て主に代わっての施工監理です。建築する敷地の法的調査、行政機関への許可や申請等、設計図作成、建て主との打ち合わせなどがあります。また、複数の業者から見積りを取り、比較すると設計料分くらい浮くこともあります。

 設計を建築家に、施工を工務店に別々に依頼します。

建築家に依頼する場合のデメリットって?

 建築家が設計した家の一番のデメリットはコストが高いことです。

 また、建築家が設計した家のメリットのひとつは、監理を施工者ではなく建築家が行うことですので、そのための費用もかかります。

 結果として、工務店やハウスメーカーでは数十万円ほどの設計監理料が、建築家の場合には数百万円の単位になります。

 工事費に関しても、一棟一棟に合わせた特注品やデザインに気を使った材料などを使いますし、工務店にとって初めての材料や作り方が多く、またデザインにこだわるため、手間が余計にかかり、その分、工務店の設計施工と比較すると高いものになります。

 また、以上のことによって工事期間も長くかかりますので、仮住まい費用などの諸経費もかさむことになります。

 同じ土地に同じ床面積の家を建てるとすると、理論的には工務店の設計施工よりも必ず高くなりますが、ハウスメーカーの場合は土地の条件によってコストが急上昇することがありますので、特に都市部の狭小住宅などでは建築家が設計した家の方が安い場合もあります。

 工務店やハウスメーカーははじめの契約の時点で価格がほぼ確定するのに対し、建築家の場合は、本当の工事費がわかるのは設計のあとの見積り時点ということになり、依頼先を決める時点で正確な工事費が分からないということも建築家が設計した家のデメリットです。

 法令・予算以外の制約は一切なく、完全な自由設計が可能で、いかなる工法や仕様も選択することができます。

 土地の欠点をカバーする手法にも制約が加わらないため、条件の悪い土地でも影響が出にくく、特に超狭小住宅や地形が極端に悪い土地などでは、コストの面においても建築家以外の選択肢はありません。

 建築家は住宅をまず家族の個性や住環境ありきの、生活というソフトウェアを構成する一部だと考えています。

 ただし、多くの場合、細部の仕上げ方などの施工技術上の知識は、工務店の方が勝っており、上手な建築家は施工を担当する工務店の知恵をうまく引き出して家を建てますが、工務店をうまく扱えない建築家が設計・監理を行った場合は、詳細な性能において工務店の設計・施工の家に劣る場合があります。

建築家に依頼する場合のメリットは?

 建築家は正確には意匠建築家であり、デザインを重視することが前提になっています。

 設計やデザインの自由度は建築家が最も優位であり、建築家が設計した家の重要なメリットだといえます。

 ハウスメーカーが自由度と引き換えにコストを優先しているのに対し、建築家の場合はコストと引き換えに自由度を優先する依頼先ということができます。

 欠陥住宅を防ぐためには、「監理」という役割が重要になってきますが、建築家で建てる家の場合、建築家が建て主に代わって監理を行いますので、チェックされる側とチェックする側とをはっきりと分けることができます。

 建築家の家は監理に正常なチェック機能が働き、手抜き工事になりにくいことが大きなメリットといえます。

 建築家の家は一つ一つが異なる仕様であるため、建ててみないと不具合が生じるかどうか分からないという特性があります。

 しかし、それは手抜き工事による欠陥住宅とは意味が異なり、竣工後にいくらかの改修を経て最終的に完全な家に仕上げることが、完全注文住宅の元々の特性であり前提といえます。

 品確法は、竣工後10年間の瑕疵保証を施工者に義務付けていますので、建築家に設計を依頼した場合でも、施工した工務店が保証元になります。

建築家にお願いした場合に住宅ローンは組めるの?

 建築家が融資の段取りをつけてくれることはありませんので、建て主自身が交渉し、事務をこなさなければなりません。

 土地を同時購入する際などは、土地購入から工事契約までの期間が長いことを理由に審査以前に断られることがありますが、その原因は金融機関の窓口担当者の認識不足であり、建て主個人の信用に問題がなければ、どの金融機関でも融資の方法は見つかります。

 最終的に建築家に依頼することが原因でローンが組めないということは稀ですが、工務店やハウスメーカーで建てることに比べ、ローンを組むのに以上のような不便さが伴います。

建築家にお願いすると工期が長くなるってホント?

 工務店やハウスメーカーと比較すると、同じ工法であれば最も計画期間の長い依頼先といえます。

 一般的な計画期間は、計画の開始から入居まで、約14ヶ月と考えていいでしょう。

(1)基本設計<約3ヶ月>
建築家によって、まず初めに設計監理契約をする方、簡単なヒアリングの後に無料あるいは有料でラフプランを示し、その後に設計監理契約をする方に分かれます。

基本設計の期間は平均すると3ヶ月ほどですが、完全注文住宅である建築家の家は、基本設計が最も重要な工程ですので、建築家あるいは建て主によっては、この期間を1年以上取る方もいます。
 逆にファーストプランで希望とピッタリあってしまえば1ヶ月で終わることもあります

(2)実施設計<約2ヶ月>
基本設計を元に見積り用および工事用の図面を制作します。 また、その間に細かい造作や素材、設備、色などを打合せます。

(3)見積り調整・請負契約<約2ヶ月>
複数の工務店に見積りを依頼し、提出された見積りが予算内に収まるよう調整を行います。予算調整が終わると建築家のアドバイスの下に施工する工務店を決め、請負契約を結びます。
(4)工事期間<約7ヶ月>
工法や建物の大きさによって工事期間は異なりますが、一般的な木造住宅ではおおよそ7ヶ月掛かります。

 

建築家に依頼する場合、どんな契約になるの? 

 工務店やハウスメーカーで家を建てる場合は展示場見学や、プラン、見積もりによって、完成形とほぼ正確な費用を確認した上で契約をすることができますが
展示場を持っている建築家は皆無といっていいでしょうし、誰もが契約前にプランを描くとは限りません。

 また、正確な工事費も設計完了後に工務店に見積もりを依頼しないと知ることができません。つまり、建て主は完成形や正確な費用がいまひとつわからない状況で契約に臨まなければならないのです。

 プランを作るためには建て主との継続的で腰を据えた付き合いが不可欠なので、あまり建て主を知らない状況で無理にプランを描いても当てずっぽうになってしまうからです。

デザインが気に入った建築家なら問題ないの? 

 建築家を探す場合、雑誌やホームページをご覧になってデザインの気に入った建築家にまずアプローチすることでしょう。

 しかし、デザインの好き嫌いだけで建築家を決めることは大変危険なことです。

 建築家を訪ねた際には人物を選ぶという前提の元に、以下のポイントをしっかりとご確認ください。

 1年以上の計画期間を通して、その建築家と相互信頼を保っていけるかどうかということです。

 家を建て終わったあとでも、ずっとつきあっていきたい人物かを確認してください。細かい部分の仕上げ方や雨仕舞いなどの住宅の性能面に関する設計能力です。

 こちらに専門知識がないと判断がつきづらいところですが、一つの基準となるのは経験の多さです。

 過去の作品写真や資料を見せていただき、できれば過去に依頼した建て主に直接話を聞いて確認できる機会がもてれば、より安心です。その際に、必ず写真を見せてもらってください。

 図面通りに工事が行われているかをチェックし、図面に表せない細かい部分の仕上げ方などを工務店に指示する仕事です。

 せっかくいい設計ができたとしても、マメで適切な監理ができないと、文字通り絵に描いた餅になってしまいます。遠隔地でもない限り、平均して週に1度のペースで現場に足を運ぶ必要があります。

 過去の作品集などを見せてもらい、お好みに合うかを確認して複数の作品の中から共通して伝わってくるイメージや考え方などを大づかみで読み取ることが大切です。

建築家が選ぶ工務店なら安心?

 建築家が自分が紹介する工務店にこだわる場合は、なれ合いから監理が甘くなる可能性があります。

 ただし、逆に特定工務店との信頼関係によってコストを落とす建築家もいますので、特定工務店にこだわる場合は、その理由をきちんと確認しましょう。
 

 建築家本人が最初から最後まで直接家づくりにかかわる場合と、重要な工程や全体の監修は本人でも、実際の業務は担当スタッフが行う場合があります。

 ほとんど本人が関わる建築家は駆け出しの方か、逆にこだわりが強いベテランで設計料がより高額な方かのどちらかがほとんどです。

 一方、担当スタッフが多くをこなす場合は設計料がリーズナブルな反面、スタッフの技量や建て主との相性、建築家本人とスタッフのコミュニケーションという要素が加わって連携が複雑になり、その分トラブルが起きる可能性が高まります。

建築家はコンペで選ぶものだと聞いたことあるんですがホントですか?

 確かに業者選択にはコンペという方法もあります。

 各種の紹介業者でもコンペを開いているところがあり、コンペには公募によるものと各種紹介業者の会員などに限定されたものがあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。

 建築家との家づくりは、建設したい住宅のイメージをしっかり持っている方、もしくは、業者まかせにしないで自身の納得できる家づくりをしたい方など、オーダーメイドの住宅を希望する方におすすめです。

 建築家の基本的な職能としては「建主の細かな要望に応え、最もその人に合った住まいを実現するために尽力する」ことだといえるでしょう。

 それで、コンペで建築家を選ぶのは良い方法とはいえないでしょう。

 建築家ならすべておまかせでもOK? 

 建築家は建主である、あなたに代わって設計図を引き、施工業者を選び、見積りを検討して、工事が滞りなく行われているかを監理してくれます。しかし、何でもお任せするという考え方では上手くいきません。

 建築家は、あなたの意向を尊重して家づくりを進めてくれますが、建主も積極的に家づくりに関わることが大切なのです。

 綿密な打ち合わせを重ね、些細な疑問や要望も伝え、予算も明確に提示して家づくりを進めていくことが必要です。 

 建築家に家づくりを頼んだ場合、建築家はあなたの意向や理想を、自身の個性を通して実現します。

 得意なスタイルやこだわりで、建主の希望するライフスタイルを実現するために尽力しますので、理不尽な要求でなければ、あなたの要望を叶えてくれます。

 しかし、あなたの考えや意向だけで家づくりを進めては、あなたの考えている以上の住まいにはなりません。

 建築家に依頼するメリットは、あなたの想像を超える提案やアイデアを、家づくりに生かしてくれるということです。

 コスト監理は、建築家に依頼した場合、設計段階から進めてもらうことができます。

 また、予算に応じて、建材を選び施工のスリム化を図るなど、総合的に監理してもらえます。

建築家に依頼する場合に、入居までの期間は?

 建築家との家づくりは、綿密な打合せ期間があるため、ハウスメーカーや工務店に依頼するよりも、多くの時間が掛かります。

 設計から完成までに約1年は掛かるものと考えておきましょう。

 何度も打ち合わせを重ね、満足ゆくまで設計プランの検討をできるのが、建築家との家づくりの最大のメリットです。

建築家に依頼する場合、どんな費用が必要なの? 

 建築家に依頼した場合、総工費とは別に、設計監理費(建築費用の約10%)が必要となります。しかしその分、コスト監理により総工費をコストダウンすることが可能です。

実際に住めるようになるまでにかかる費用って?

 建築費用以外に土地建物を取得すると消費税、不動産取得税、固定資産税、都市計画税、印紙税、登録免許税などがかかってきます。ご存知のとおり、消費税は建物金額の5%です。消費税は建物にはかかりますが、土地にはかかりません。

 不動産取得税は、土地、建物を取得したときにかかる税金で、税率(平成18年3月31日まで)は、固定資産税評価額の3%です。

 ただし、新築の場合、床面積が50㎡~240㎡以内なら、評価額から1200万円控除されます。

 家づくりにかかる費用は、家そのものを建てる本体工事費(基礎工事、躯体工事、屋根、設備、内外装工事、電気工事など)と、別途工事費(ガス、給排水管の引き込み工事、電話工事など)があげられます。

 さらに、登記や引越の費用だけでなく、インテリア用品(家具、照明、カーテンなど)購入費などの諸経費も見込んでおくことが必要です。
本体工事費は総金額の約8割を占め、別途工事費と諸費用が残りの2割となります。

 予算の参考にするのであれば、このような、別途工事費と諸費用も加えた総費用を算出しておかないと、正確な予算は立てられません。

 なお、上記の費用は、土地の購入金額が含まれていない場合ですので、土地購入をする場合には、当然ながら購入価額も加えて算出しないといけませんし、土地建物取得後には税金もかかってきます。

 また、新築を機に家具を新しく入れたい!という人も多いでしょう。好みのインテリアから考える家づくりも楽しいものですよね。その場合、置きたい家具は設計前までに決めておくほうがよいでしょう。

 そうすれば、家具のサイズや配置に合ったスペースなどを間取りに反映させることができます。

 また、床や壁などの内装材も、家具のデザインと調和するものを選ぶことができますし、現在お持ちの家具を持ち込む場合も同様です。事前に依頼先に話しておくことをおすすめします。

 照明・カーテンは、サイズや色などのトラブルを防ぐため、出来上がっていく室内を見ながら決めるのがいいでしょう。照明・カーテンも、現在お持ちのものを持ち込む場合には、家具と同様、事前に依頼先に話しておくといいでしょう。

 また、インテリアコーディネーターに建物のイメージと調整を図りながら決めてもらうのも、ひとつの方法です。

土地の条件も大切な要素? 

 土地の条件は、建築のプランに大きく影響します。面積や地形、地盤、環境はもちろん、利便性や将来性まで見据えて選ばなければなりません。

 また、建築の法規、例えば建ペイ率や容積率、斜線制限、接道などの確認も必要です。このような確認を、うっかり見逃してしまうと、イメージした家が建たない場合もありますので、十分に注意しておきたいものです。

 特に大事なのは隣接地との境界です。これから長く住むことになるところでの隣接者とのトラブルは避けたいものですよね。

 日当たりや騒音はもちろん、昼夜の環境の違いを確かめるために、違う時間帯に数回、足を運ぶことが大切です。

 できれば、信頼できる設計や施工の専門家に、現地を確認してもらうとよいでしょう。

 しかし、土地を手に入れることは簡単ではありません。住みたい地域を限定していると長い期間を有するかも知れませんし、相場よりも高いかも知れません。

 そこで事前に、不動産情報誌や不動産業者で地価相場を調査し、予算からイメージする建築総費用を差し引いた金額を目安として土地選びをすることも重要です。

 予算や敷地、要望などを確認する打合せを行い、設計者がラフな平面図や立面図を作成します。図面を基に、住まい全体の大まかな構成、ボリュームを確認していきます。可能であれば模型を作成してもらうと、よりイメージしやすくなります。

 予算や期間により実現の可否はありますが、まずは夢や希望を設計者へ伝え、実現できるよう検討してもらいましょう。エクステリア(外構)やガーデン(お庭)についての希望も、しっかり伝えましょう。また、今の住まいから持っていく家具をリストアップしサイズも伝え、配置できるように設計してもらいます。

 打ち合わせの際は、営業担当者だけではなく設計担当者にも同席してもらいましょう。

 各部屋の配置だけでなく、キッチンや浴室などの設備、壁紙や床材などの内装について決定していきます。仕様が選択できない会社もありますが、建築家との住まいづくりでは、すべての仕様について、こだわりをもって選択することが可能です。

 建築費の概算見積もりを取り、設計変更に合わせて見積もりも変更し提示するよう依頼しましょう。

 図面が完成すると、建物を建てる施工会社を決定します。実施設計図面を元に、詳細な工事費見積もりを作成してもらいます。

 見積もりと予算を比べ、予算をオーバーしている場合は設計変更を依頼します。部材など仕様変更だけの場合や、設計自体の一部変更をしなければならないこともあります。


 

建築家との家づくりの基礎知識はお役に立ちましたか?

建築家との家づくりについて、少しはご理解していただけたと思います。

 

 

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